デジタル化事例DIGITAL CASE
デジタル化の背景
愛知県瀬戸市で、コーヒー豆販売の専門店Coffee SAKURAを2001年に創業しました。グアテマラ、ブラジル、インドネシアなどのコーヒー生産地へ赴いたり、全国各地でコーヒーセミナーを100回以上開催しながら、普段は店舗にてコーヒー豆の販売や道具の使い方、コーヒーの入れ方、選び方をアドバイスさせていただいています。自分でドリップしたコーヒーを飲んでほっとひと息。この「ほっとするひととき」が人の心を豊かにすると思うのです。「コーヒーさくら」がお客様に提供すべきはコーヒーそのものではなく、コーヒーをドリップして飲む、「ほっとするひととき」であると考えています。
コーヒー豆の生産国はいわゆる後進国が殆どですが、近年これらの国でも経済が発展し、例えばエチオピアでは所得が20倍ほどに増えて人々の生活が向上しています。これは喜ばしいことですが、このためコーヒー豆の仕入れ値が高騰しています。「コーヒーさくら」が今後も安心価格でコーヒーを継続して提供するためには、生産性向上によってコストダウンをしなければなりません。
そのためものづくり補助金を活用して愛知県ではまだ導入事例がない、アメリカ製のスマートロースターというコーヒー焙煎機を使用しています。デジタルで様々なデータを取り、インターネットに接続して操作をしたり、焙煎データを送ったりすることができる機械です。また熱源はプロパンガスを使用し焙煎の際発生した廃熱を熱源として再利用しているので、環境にも優しい焙煎機です。
デジタル活用の概要
スマートロースターを活用して品質向上を図るとともに、IT活用も積極的に行っています。
最初は無料ツール「グーグルドキュメント」を活 用して経営計画を、実行計画をいつでも、どこでも、スタッフのだれもが見ることができる環境を整備し、次にPOSレジのデータを蓄積分析して、お客さまの購買履歴や購買行動に合わせたイベント企 画やキャンペーンを開催しています。
自社 ECサイト、楽天、ヤフーなどネットショップを開設して全国どこからでもお買い求めできるようにしています。
商品データ、購買履歴データ、POSデータなどはクラウド上にデータベースを構築して、スタッフ全員で情報共有し、いつでもだれでも見ることができます。
また、産学連携事業では愛知県立大学と連携し、スマートロースターから取得した焙煎データ(製造プロファイル)とお客様の味覚データ、POSデータなどから焙煎と味覚の官能評価からどのように製造すれば、お客さまが美味しいと感じていただけるかの研究を行っています。
デジタル活用の効果
店舗管理のバックオフィスでは、データの統合と共有化によって少なくとも1人工は削減され、30%ほどの生産性向上が達成された。イベントやキャンペーン企画の集客ではDMを送付した顧客の約40%が来客するようになって、以前に比べ10%〜20%の効率UPとなっています。購買履歴の分析に基づく来店案内を実施することで、スタッフの稼働状況に合わせた来店時間管理ができて、店内の混雑、密を避けることに成功しています。また、スタッフのオペレーションも楽にできるようになりました。
SNSの活用では、Instagramが最も効果的で、フォロワー1500人、YouTubeフォロワー2100人を集めています。顧客は店舗客 + 通販客合わせて5500人、リピート客1300人が対象の商売となっています。
定性的な効果として、少ない人数のスタッフで多くの業務処理が可能となってスタッフは楽しんで仕事ができるようになり、笑顔が増えたことで、お客さまの評判も上々です。
また、スマートロースターの導入や焙煎状況のデジタルデータ化、おいしさの官能評価データなど、新しいデータ活用によるメディア露出もあり、「コーヒーさくら」のブランド力が上がって、顧客価値の向上につながっています。
今後の課題・目標
今後3年計画で店舗のPOSデータ、通販サイトの顧客データ、スマートロースターの製造データ、SNSのデータなどをデータベースに統合してマーケティングを実施できるようにする計画です。
また、来店されるお客様の顔写真をAI解析して、お客さま一人一人の属性やニーズに合わせたご説明や提案など、高度な接客オペレーションの実施、ITやAIではできない部分は人で、人ができない部分はIT化で補うことで、地域一番店を目指します。
株式会社 さくら
代表取締役 大西文明
本社所在地
愛知県瀬戸市みずの坂 5-123TEL
0561-48-7322創業年月
2001年7月資本金
300万円売上金
4,800万円従業員数
7名H P
https://www.coffeesakura.co.jp/