デジタル化事例DIGITAL CASE
デジタル化の背景
コクネ製作(株)は、親会社の㈱古久根が制作する半導体製造装置用ベース、フレームなどの鋳物部品の機械加工を主たる事業とし、コア技術である鋳造製品の鋳造、機械加工を中心に各種部品調達から組立まで全てにおいて対応できる一貫生産体制を武器にQCDにおいてお客様のご期待にお応えしています。
益々高まるお客様の要求、Q(高品質)C(低価格)D(短納期)に応えるためには、業務プロセスの標準化と生産性の向上、従業員のスキルアップ等が喫緊の経営課題となりました。このために、紙を用いた人手によるExcel管理に変わる生産管理システムの導入=デジタル化が必要となりました。当社の一貫生産体制は半導体製造装置産業を中心に高く評価され、生産需要は急激に増加した。これにより当社からの供給が追い付かず、必然的に業務効率の向上が必要となりました。供給量を増加させるためには、切削加工を担うマシニングセンタの稼働率向上が必要不可欠です。また、生産管理システムを用いた事務処理範囲を拡張させるなど間接的な業務の面から効率を向上させることで需要の増加に答えることが必要であると判断しました。
デジタル活用の概要
経済産業省のIT導入補助金を活用し、自社の現状を鑑みた結果、生産管理システムは㈱テクノアのTECKS-BKを導入することとしました。
また、需要の増加に対し、生産能力を向上させる必要がある中で、生産における無理無駄を省くために、(株)テクノアと協業し、稼働状況を監視するA-Eyeカメラを実現させました。
これは設備に付属されているパトライト(3色灯)をカメラで認識し、その色に応じた状態を収集し、モニターに示すIT 設備です。稼働管理システムは従来から社会に広く普及しているが、本設備はAIで画像認識をするカメラであるため、稼働を続けることで蓄積データを活用し、精度が向上していく特徴がある。単なる稼働管理に終わることなく、将来的には人やモノに対し用いることが可能であると考え、活用を開始しました。
デジタル活用の効果
売上の増大
売上は平成27年に774百万円だったものが、令和1年には2,466百万円まで上昇しており、331%増加している。これは従来事業の需要が拡大したものも然りであるが、需要増に呼応するように生産管理システムで管理する項目を拡大したことも要因の1つである。システムにて一貫して受注・購買・売上を行うことで、適切な状況把握を実現し、売上の増大を達成した。
人件費、賃借料等の固定費削減
平成27年より順次間接業務にIT システムを導入し、固定費の削減にも努めてきている。需要の拡大により人員を増強しているため、人件費自体は増加しているが、勤怠・給与管理システム、グループウェア、名刺管理システム、テレワーク(外部接続)などを導入することで業務効率を格段に向上させた。
これにより従業員一人当たりの売上高は37.3百万円/人となり、173%増を達成することが出来た。
リードタイムの短縮
生産管理システムを導入し、そのシステムに稼働状況を監視するA-Eye カメラをリンクさせることにより、生産状況をよりリアルタイムに把握することが可能となった。これにより、保有機械の遊休状況、遊休時間が明確となったため、生産計画にフィードバックすることでより効率的に生産が可能となり、ブラッシュアップされた生産計画に基づき生産することで短納期での対応が可能となった。需要増に対応したこともあり、結果的に稼働時間の向上に繋がっており、平均稼働時間は364h/ 月となり、136%増を達成することが出来た。
A-Eyeカメラを用いた稼働監視は現場モニターに映し出されることで、機械を1分でも長く稼働させるという意識が芽生え、目標を達成させるモチベーションになっており、現場におけるデジタル活用への要望も多くなっている。
今後の課題・目標
鋳物は、高温で溶かした鉄を鋳型に流して製造するが、湯流れの状況によって、構造内部に鋳巣ができることがある。この鋳巣を制御し、湯の凝固状態をコントロールするためCAE(Computer Aided Engineering)ソフトウェアを導入して鋳物部品の構造解析、凝差解析、湯流解析などのシミュレーションを行い、工程管理や鋳型構造を最適化して、高品質化の実現を果たし、全工程を自動制御ができる工場へ一歩でも近づくように全社で研究している。
CAD、CAM、CAEなどデジタル技術の活用で中小企業でもスマートファクトリーが実現できると考えています。
コクネ製作 株式会社
代表取締役社長 古久根靖
本社所在地
愛知県西尾市法光寺町流20-3TEL
0563-64-3395FAX
0563-64-3396創業年月
1970年 1月資本金
3750万円売上金
45億従業員数
98名H P
https://www.kokune.net/
古くから伝わるこの技術は、これまでも、そしてこれからも日本のものづくりを支え続けていくと信じています。そのためには、伝統技術とIT の融合を実現しなければなりません。伝統技術をITに置き換え後世に継承し、より優れた技術へと発展させることが、ものづくり大国の成長に寄与できることと信じ、邁進して参ります。